埼玉県志木市の佐藤デンタルクリニックです。今回は部分的に入っている銀歯などのやりなおしについて書いていきます。
部分的なものをインレーと歯科用語で言います。全体を覆う被せるものはクラウンです。今回はインレーのお話です。
いわゆる銀歯を白いセラミックに変える治療というのは10年も前からあり、治療されたことのある方もおられると思いますが、
以前の希望としてはやはり銀歯のあの色が嫌だということが、主要なニーズで、そのためにセラミックに変えるということだったように思います。
上のような銀歯は、どうしても噛んでいるうちに変形し歯との間に隙間ができます。そうしてその隙間から細菌がはいりこみ虫歯になってしまっていました。
意外と痛みが出にくいこと、銀歯の影になり虫歯が見えないこと、セメントが少し良くなり簡単には銀歯が取れなくなったことなどにより、銀歯の中の虫歯は意外なほど大きくなり、痛くなった時には神経を取るほどの問題を引き起こすようになりました。
近頃の歯科医院のメイン治療の一つではないかと思います。
ただ、昭和から平成にかけても患者様の気持ちとしては痛いか痛くないか、取れたか取れないかで歯科医院に行くか行かないかを決めていたように思います。
ようやく令和にはいり、検診的なチェックも大事なこともわかってきて通う方もおられるようになりましたが、メインのニーズは歯石の除去やクリーニングだと思います。
われわれも痛くないと言われる銀歯を外すのは躊躇するところもあるのですが、レントゲンや拡大した像などをみると銀歯の歯の間には黒いラインが入り、そうなってしまうと中を完全に保つことはなかなか難しく虫歯になっていることがほとんどということになります。
また、近頃ではドイツなどでは銀歯の主要メタルのパラジウムは禁止金属に指定されるなど、金属を歯に使うことのデメリットもかなり周知されてきたように思います。(金属アレルギー)
わたしは、メタルの良さも感じるところがあるのですが、できれば自分の身体の中にメタルは入れたくないと思うのは確かです。
もうひとつ、インレータイプで使われる素材としてレジンと言われる白いプラスチックがあるのですが、これのいちばんの問題は、奥歯に使うには強度が足りないということです。
歯との表面に接着剤を塗り、プラスチックを歯につけているわけですが、この作業は相当シビアに行わないと、すぐ隙間ができたり、そこが黒くなったりします。
壁紙や障子の穴を塞ぐため、あて紙のようなことをすることがあると思いますが、それとよく似ています。うちの歯科医院でも開業当初、きずがついていたり少し問題があるところに、あて紙をしていただきましたが、残念ながらその部分だけはげてきたり、剥がれたり、間に黒い線が入ったりしており、残念な気持ちがします。
そこでセラミックということになるのですが、セラミックも万能ではありません。かえってかけてしまったり、壁紙のように間が黒くなったりということがこの10年間繰り返されてきました。
その理由は、セラミックと歯の質や硬さ、柔軟性などの問題が一つです。インレーの場合、歯とセラミックを同時に噛んだり、間のところを噛んだりということは、日常的に起こります。
クラウンなど全体を覆うものより、状態が悪いのは間違いありません。難しいのです！
ですので、素材は歯に近く弾力まで似ていていただきたい。セラミックのもつ、キレイでツルツルと言った特性は残しつつ、歯に寄り添って欲しいのです。
しかし、そう言った素材は当初ありませんでした。ようやく2013年くらいにドイツのVITAという入れ歯の人工歯で有名な企業からエナミックというセラミックが発売されました。
強度はそれほどではありませんが、歯に硬さや弾力が酷似しており、歯に寄り添ってくれます。当医院ではこの素材の臨床例が700来以上あります。とにかく慣れています。
みためも写真のように歯になじむものですし、当院に導入しているセレックシステムを使えば、一日で削ってセットまですることもできます。
このことは、早く終わるということ以上に、歯の中に感染物を取り込まないですみというメリットがあり、そのことにより術後のお痛みが非常に少なくすみます。
あとは、歯と接着するにあたっても非常にお互いの馴染みがよく、写真を拡大していただけばわかるかと思いますが、どこが境目なのかわからないくらいよくなじみます。
実際、口の中で10年以上安定を求めるのであれば、このくらいの馴染み方が必要なのです。分子レベルでもということです。
当院でも、このセラミックを採用し使い始めてから、7年程度が経ちますが、取れたりかけたり、やり直したりということはほぼありません。
痛みがないうちに治療を始めることができれば、神経まであと1ミリないのではというような大きな虫歯も治療可能です。
大きな虫歯をさっと治療し、長く持つような歯との馴染みの高い良い材料だと思います。
良い材料を適切に使い、虫歯の処置を素早く行う。また、接着などあとに影響のある部分をとにかくでああないに行う。このあたりにうまく治療がおこなわれ、その後の問題のおこりにくいポイントがあると思われます。
当院では、これからも患者様に喜んでいただけるような治療を丁寧に行なっていきたいと思います。
佐藤デンタルクリニック
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